本当に偶然なんだけど、無料配信やるよっていうのを知って、youtubeで見ました。この剣劇の第一弾の公演が断金だったので、その時は東京まで見に行ったんだけど、魏は行かなかったんだよ~。だから無料配信嬉しいなと思って見ました。
開始10分でわかったこと
確かリアル公演前にストーリーだけ一応確認して、「反董卓連合」とか書いてあったと思うんですよ。だから「そんなところをやんの?」と思った記憶がある。魏だったら普通は官渡とか、三国出したいなら赤壁とかやん。
ところが、本編を見始めて10分で思った。「官渡までやりそうやな!?」曹操と袁紹の仲良しアピールがめっちゃすごかったからです。勝手に「なるほどね」と思った。
人間関係から三国志へ入る
「孫呉」を見た時も思ったけど、三国志を知らない人(特に女性)に三国志を見せる方法って、やっぱこれが一番いいよなと思った。とにかく魅力的な人物像と、感情に訴えること?というか。
三国志を知らない人にとって難しいのは、時系列がよくわからん、用語が難しい、地名・地理がわからん、人物名が覚えられない。「いい方法」っていうのは、そういう「歴史っぽさ」を感じさせないように、人物を追わせる(?)みたいなこと。反董卓連合って何?官渡って何?と思わせる隙を与えず、曹操と袁紹がどうだったかに集中してもらう。
「曹魏」のときは知らないんだけど、「孫呉」の時には事前の勉強会みたいなのがあって、ニコ生か何かでわたしも見た。見てる人から「名前が読めない~」とかいう反応が出るたびに、荒牧くんが説明の水準を下げて、最後には「これだけ分かっていればいい」「何も分からなくても楽しめます!」みたいなことを言ってた気がする。知っている人が、知らない人の理解度まで降りていくのってまじで難しいと思うんですが、その調整が舞台本編にも徹底されているのがすごいなと思った。
弱い曹操
この作品の曹操は、わたしの好きな曹操様像とはかなり違うんですねえ。故郷を焼きたくないとゴネて、袁紹に「二人で逃げたい!」って言うの。いやぁ、ほんとに……これには「う~~ん」と苦い顔になった。
曹操は、弱さを部下にも見せながら人に愛される袁紹に憧れる。一方の袁紹は、冷徹で強い曹操に憧れる。互いが相手に求めたものが二人を近づけ、曹操が袁紹のようになろうとした瞬間、その関係が壊れる。袁紹は「そんな弱い男は必要ない」と曹操を拒絶するのだ!「そうだそうだ!」って思った!(剣劇の曹操ごめんね)
正直、こんなに弱い曹操を見たいわけではないよな~。でもまあこういう脚本の舞台なので。最初に袁紹と再会する前と、最後に袁紹と袂を分かったあとは冷徹(?)な曹操なので、辻褄は合ってるのかな(この舞台では徐州大虐殺はスルー)。
三国志の民はトンデモ三国志に慣れているので、許容範囲内といえばそう。
人間と英雄
で、「孫呉」の時は孫策がこうだった。小覇王・孫伯符ではなく人間・孫伯符になっていた。今回は人間・曹孟徳。
人間・孫伯符は人間のままでは英雄をやり切れずに、狂って死んだ(于吉の呪いではない)。人間・曹孟徳も人間のままでは英雄をやり切れずに、人間をやめる(と言ったら言い過ぎか?)ことで英雄をやり続ける。
ということは?次の「蜀漢」は人間・劉玄徳が人間のまま英雄でいる話か?と気になって、「蜀漢」を見に行くことにしました。これを読んでないと思うが、チケットを融通してくれたA氏ありがとう。
三国志は、やる
曹操と袁紹の二人きりの斬り合いで官渡の決着がつきそうになったときは、さすがにこれはどうかと思いました。が、わたしの早とちりで、決着はついてなかった。
ちゃんとその後に、許攸の離反で兵糧庫の位置が曹操軍へ伝わって、それが官渡の勝因になるというシーンがあった。しかも許攸は、(二人きりの斬り合いで)川へ落ちた袁紹が命からがら陣へ戻ったあと、裏切るよう命じられていた。
袁紹軍の敗北は、曹操を曹操に戻すために袁紹自身が選んだ敗北、ということになってたんですねえ。でも、許攸が離反して、兵糧庫が焼かれて、曹操が官渡に勝つという、三国志のイベントはちゃんとやって、中身だけちょっと変えてるというか、感情だけオリジナルにしてる。
これって、めっちゃ正しい三国志の遊び方だよな~って思った。
好きだったところ
好きだったのは、何はともあれ夏侯惇だ。この夏侯惇を生み出したのは、どういう人なんだと思って、脚本の人を検索してしまった。
曹操が腐っているときには発破をかけていた夏侯惇が、袁紹の影響で曹操が丸くなったことには文句を言わない。一方、荀彧はその変化に苦言を呈する。夏侯惇は曹操の絶対的な味方だけど、何でも肯定する人物ではない。曹操を立たせることはしても、曹操が誰に心を許し、どう変わるかまでは支配しない。という機微がまじで良かった。
こんなの同人誌やん!!!!!!!!!って思いました。
あと袁紹が貂蝉に扮して潜入する展開(貴重な女枠を女装に使う)や、関羽の美髯をレースの布飾りとして表現する衣装もいいなあと思いました。アレンジの仕方がいいよな……ターゲットを明確に設定してないとできない。ここで色気を出して「三国志ファンにも来てほしい」とか思ったら、絶対やらないでしょう。
でも貂蝉は出すし、美髯もあるんだよ。そこがすごい。なのでわたしの中では、剣劇はいわゆるトンデモ三国志には分類してない。
荒牧くんはマジですごいと思った
「企画 荒牧慶彦」がどこからどこまでなのか分からないんだけどな~。脚本もそうだし衣装もそうだし、制作にはたくさんの人が携わってるはずなので、ほんと分からないんだけど。分からないにしても。
三国志を知らない人向けの要素、三国志としてキープしたい要素、のバランス…みたいな……。その方向性、判断みたいなものが、すごく一貫してるように感じる。ひとつの思想が全体に適用されて…いませんか!?わたしはそれをすごく感じました。
この精度で総監督的な調整業務をしている人間がいる。それを誰がやっているかといえば、カテコ挨拶を聞く限りでは荒牧くんなのかなと思って…すごいですね……。
呉も見た
「孫呉」も無料配信してたからまた見た。人間・孫伯符はわたし向きではないけど、新規の断金供給、孫策の夭折を知らなかった人たちの慟哭供給、大量の人間を三国志と出会わせた功績など、本当に感謝しかない。この商業規模で新規の断金が…?っていまだになるな~と再確認した。
終盤で周瑜が孫策の妄言に乗ったり、自分のために奮い立たせようとして小芝居を打つやん。わたしはああいうのはコントロールしようとしてると見做して好きじゃないんだけど、周瑜はそんなの分かってて、それでもその方法を取ってしまったんだろうなと思ってつらいです。
でもラストとかめちゃくちゃいいよな。あれを見ると「断金の人、良かったね……」という気持ちになる。確かリアル公演を見てたときも、ずっと「断金の人、良かったね……」と思ってた気がする。笑
次は蜀らしい
「蜀漢」の公式サイトを見たら周瑜も孔明も荒牧くんだったから「ど、どうやって?」の顔になった。どうするんだろう。周瑜はあんまり出ないのかな?
あらすじには桃園結義のことが書かれてるのに、キャストに司馬懿がいるしな。前述した人間云々をやるなら(めちゃくちゃ長いけど)夷陵からの白帝城で孔明に託して終われるか?と思ったけど、司馬懿……?北伐までやるつもり?ありえない時間軸の長さになっちゃう。どうなってるか楽しみですね~
剣劇「三國志演技~蜀漢」公式サイト:https://kengekisangokushi.com/